TECHNOLOGY

ベル工法

ベル工法は「夢の技術」とされていた、塩化ビニル 管の長距離・曲線推進を実現。

ベル工法概念図(管周面抵抗力分割方式)

ベル工法は管周面抵抗力を分割して鋼製のインナー装置に負担させる方式を採用しています。推進管内に配置したインナー支持装置の支持部材で、推進管を16m以下の間隔で支持します。このシステムにより、管の耐荷力に制限されるのではなく、インナー装置の耐荷力により長距離推進を可能としています。

ベル工法の性能

性 能 立 坑 環 境
  • 推進可能延長:250 m
  • 最小曲率半径:60 mR
  • 複数曲線可(制限なし)
  • 発進 D2500・D2000
  • 到達 D1200

※既設2号人孔到達のΦ600鉄蓋から回収可

  • 耐食性・耐震性・長寿命
  • 建設残土の低減
  • 工期短縮・交通渋滞縮減
型式分類 泥水方式一工程色
型式種別 線形種別 掘進機 最小曲率
半径
呼び径 推進可能
延長
管種 適用土質 礫対応型の土質条件
標準型 直線 V型 直線 300
350
250m

200m
D2000発進

VP
VM
普通土
礫質土
  • 最大礫径120mm以下(粗石率=5%以下)
  • 礫率50%以下
  • 一軸圧縮強度150MN以下
  • 透水係数10-2cm/sまで
    (10-2を超える場合は地盤改良等を別途検討)

※ 推進延長は上記の土質条件を踏まえ、別途検討。

曲線 VC型 R≧60m
礫対応型 曲線 VC-D型 R≧60m 300 200m ※ VP 粗石混り土
<VC型概念図>

ベル工法の特長

1. 長距離推進
ベル工法は管周面抵抗力分割方式にて推進管への負担を大きく軽減したので、低耐荷力管(塩化ビニル管)での最大250mの長距離推進が可能です。
2. 曲線推進
掘進機は方向修正装置を2箇所装備しており、60mRまでの複数曲線推進が可能です。高性能ジャイロを搭載した自走式計測ロボットによる管内測量をすることにより、深い土被りや、既設埋設管との併走、河川・水路横断等の施工条件下でも、高性能な水平位置計測が可能です。
3. 幅広い土質に対応
■ 軟弱地盤
約6.2mの長い先導体の後部に、剛結合で一体化されたインナー装置を配置することにより、均一に地盤反力を受けられるため、軟弱地盤においても自沈しにくい構造となっています。
■ 細砂
細砂等での長距離推進の場合、推力の上昇が懸念されますが、インナー装置の支持装置により管が負担する周面抵抗が16m以内に分割されるため、推進管への負担を大きく軽減します。
■ 砂礫
礫対応型掘進機は三段階のクラッシャーで礫を細かく破砕する方式を採用しており、これまで困難とされていた塩ビ管を用いた砂礫層での長距離曲線推進を可能としました。尚、到達後の先頭管性能試験では、新品と同等の試験結果が得られています。
4. 支障物に対応
掘進中に予期しない支障物に遭遇した場合、先導体とインナー装置が剛接合で連結されているため、引戻しての再掘進で、支障物を迂回する等の対応が可能です。
5. 工期短縮
ベル工法用推進管(1.33m管)の使用により、段取替が約30%少なく日進量が多いので、工期短縮に繋がります。また、自走式計測ロボットの使用により、従来工法と比較して測量時間が大きく短縮されることから工期短縮に繋がります。
6. 耐震性
推進管の継手部には、耐震性に優れたSUSカラーを採用しています。SUSカラー継手部は折角が3度(曲率半径:R=26m)まで水密性が保たれ、レベル2地震動での安全性を確認しています。
7. 長寿命化
耐久性や耐震性に優れた塩ビ管での長距離曲線推進を実現し、下水道管渠の長寿命化に貢献します。

ベル工法システム

■ 当社社員による執筆
非開削技術 117号(2021年10月号) 塩化ビニル管で長距離曲線推進『ベル工法』の特長と事例
一般社団法人日本非開削技術協会
日本非開削技術協会 機関誌『非開削技術』117号
2022年6月 2021年度「非開削技術」技術報告で優秀賞を受賞しました。
日本非開削技術協会 機関誌『非開削技術」121号 表彰受賞者の声