SPLIT工法:鉄骨柱梁接合構法
分割型外ダイヤフラムの隅肉溶接接合工法
-特許取得--建築技術性能証明取得-
SPLIT工法は、鉄骨造における角形鋼管柱とH形梁の接合に外ダイヤフラム形式を採用し、ダイヤフラムを力がかからない梁フランジ中心位置で分割し、隅肉溶接によって一体化する柱梁接合工法で、ダイヤフラムと鋼管柱の接合も隅肉溶接としている特許工法です。
このSPLIT工法を用いることによって耐震性能は大幅に高まるとともに、施工性も向上します。
新築だけでなく、既存建物のリニューアルや増築時の増床工事にも最適で、鉄骨造なら鉄骨を組み立てるだけで床の増設が可能。工場や倉庫、店舗などの増床工事で威力を発揮します。

SPLIT工法の概要
外ダイヤフラム形式の柱梁接合部は、柱を貫通させる合理的な接合方法です。従来は、ダイヤフラムを柱の角部で分割し、完全溶込み溶接によって接合部を構成しています。
SPLIT工法では、梁ウェブ位置で2分割したダイヤフラムと柱を、隅肉溶接で一体化しています。
外ダイヤフラムの応力分布は、柱角部のアール部に歪が集中し、ダイヤフラムの中央部ではほとんど生じないため、中央部で分割するのが合理的です。
梁が偏心して取り付く場合は、サイドスチフナーを用います。柱梁接合部の応力は、柱前面と柱側面の溶接部を介して柱に伝達されます。ダイヤフラムと梁とは、高力ボルト摩擦接合としています。
SPLIT工法は、特許および(財)日本建築総合試験所の建築技術性能証明を取得しています。

SPLIT工法の特徴
- 従来からの外ダイヤフラム形式が基本です。
- 降伏耐力の1.6倍程度まで破断しない接合ですので、短期許容応力度設計のみで接合部破断を許容しない設計ができます。
- 架構の水平耐力時または最大耐力時では、ダイヤフラムに接合されるH形梁端部が塑性ヒンジ断面となります。
- ダイヤフラムを分割しているので、材料が加工しやすく、柱の製作誤差を吸収して精度が向上します。
- 柱と外ダイヤフラムとの溶接は、隅肉溶接です。板厚が厚い場合は、部分溶込み溶接とします。
- 溶接時のパス間温度・入熱量の管理が容易かつ確実で、溶接部の試験・検査の精度をはじめ施工管理の効率が向上します。
- 溶接量が減少するため、工場製作の管理が簡素化され、コストダウンと工期短縮が図られます。
- ダイヤフラムとH形梁はボルト接合ですので、ブラケット長が短くなり運搬効率が向上します。

SPLIT工法の適用タイプ例

実大試験体による構造実験
SPLIT工法の構造性能は、ダイヤフラムと角形鋼管柱との取合い部を要素モデルとした実大試験体の加力試験を行って、一体型ダイヤフラム形式と同等の性能であることを実証しています。
実験結果に基づいて新たにSPLIT工法設計式を提案し、鋼管構造設計施工指針式による結果と比較して、SPLIT工法設計式の妥当性を確認しています。
試験体のタイプ記号 | ダイヤフラム形式 | 鋼管部の溶接 | サイドスチフナー | |||
---|---|---|---|---|---|---|
分割 | 一体 | 有 | 無 | 有 | 無 | |
SW | ◯ | ◯ | ◯ | |||
DW | ◯ | ◯ | ◯ | |||
SC | ◯ | ◯ | ◯ | |||
SS | ◯ | ◯ | ◯ |



増床方法
増床時に新設柱を必要としません。
既存建物の柱が角形鋼管の場合に適用します。SPLIT工法による増床では、増床用の新設柱は必要とせず、既存柱を利用するため、内部空間が有効に、効率的に使用できます。また、既存の柱を切断することなく、定められた位置に分割したダイヤフラムを突き合わせ溶接し、架構フレームを組み立てます。
